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生命保険の主要商品

生命保険には、定期保険、終身保険、養老保険、個人年金保険、変額保険、収入保障保険など、たくさんの種類があります。一見すると複雑に見えますが、実は次の 3つの軸 で整理すれば、それぞれの違いがすっきり理解できます。

何を見るか代表的な選択肢
保障期間いつまで死亡保障があるか一定期間/一生涯
解約返戻金・満期保険金貯蓄性があるかあり/なし(掛け捨て)
運用方式受取額が変わるか定額(保険会社が運用)/変額(特別勘定で運用)

たとえば「定期保険」は 保障期間が一定期間・満期保険金なし・定額 の保険、「終身保険」は 保障期間が一生涯・解約返戻金あり・定額 の保険、というように位置付けることができます。FP3級では、それぞれの商品が「どの軸で何を選んだ商品か」を問う問題が繰り返し出題されます。まずは各商品を順に見ていきましょう。

定期保険 ── 一定期間の死亡保障に特化した「掛け捨て型」

Section titled “定期保険 ── 一定期間の死亡保障に特化した「掛け捨て型」”

定期保険は、契約で定めた 一定期間 だけ死亡保障を提供する保険です。たとえば「10年間」「60歳まで」といった期間中に被保険者が死亡または高度障害になった場合に、死亡保険金が支払われます。

定期保険の最大の特徴は、保険期間が満了して被保険者が生存していても 満期保険金は支払われない ことです。いわゆる「掛け捨て」型で貯蓄性がないため、その分 保険料が安い というメリットがあります。子育て期間中など、一定期間に大きな保障が必要な場面で利用されます。

試験で出るポイント

「定期保険には満期保険金がある」という選択肢は 誤り です。これは後述する 養老保険 の説明であり、両者を取り違えさせる出題が頻出です(2024年5月 問7など)。

定期保険特約付終身保険(更新型)

Section titled “定期保険特約付終身保険(更新型)”

定期保険を「特約」として終身保険に上乗せした 定期保険特約付終身保険(更新型) は、一定期間ごとに特約部分が 自動更新 される仕組みです。試験で繰り返し問われる重要論点があります。

  • 同額で更新する場合は、告知や医師の診査は不要。健康状態が悪化していても更新できる。
  • 保険料は 更新時の年齢 で再計算されるため、更新するたびに保険料は上がる。
  • 保障を 増額 して更新する場合は、増額部分について告知が必要。

「健康状態が悪くても自動で更新できる」という契約者保護のしくみが要点です。

終身保険 ── 一生涯の保障と解約返戻金

Section titled “終身保険 ── 一生涯の保障と解約返戻金”

終身保険は、被保険者が死亡または高度障害になるまで 一生涯 死亡保障が続く保険です。いつ亡くなっても必ず死亡保険金が支払われるため、葬儀費用や相続対策の備えとして使われます。

終身保険には 満期保険金はありません が、保険料の一部が積み立てられているため、途中で解約すると 解約返戻金 が受け取れます。長く契約を続けるほど解約返戻金は増えていく傾向があり、貯蓄機能を持つ保険として位置付けられます。

通常の終身保険を変形した 低解約返戻金型終身保険 という商品もあります。これは、保険料払込期間中の解約返戻金を通常の70%程度に抑えるかわりに、保険料を割安にした タイプです。払込期間が満了すると、通常の終身保険と同じ水準まで解約返戻金が回復します。短期解約には不利ですが、長く持ち続ける前提なら同等の保障を安く確保できます。

養老保険 ── 死亡保険金と満期保険金が同額の貯蓄型

Section titled “養老保険 ── 死亡保険金と満期保険金が同額の貯蓄型”

養老保険は、保険期間中に死亡した場合に 死亡保険金 が支払われ、満期まで生存した場合には 死亡保険金と同額の満期保険金 が支払われる保険です。「死んでも生きても、同額のお金を受け取れる」というのが養老保険の最大の特徴で、保障と貯蓄の両方の役割を持ちます。

ただし、その分だけ保険料は 3商品(定期・終身・養老)の中で最も高く なります。FP3級では、定期保険と養老保険の説明文を入れ替えた誤答パターンに注意しましょう。

graph LR
    A[定期保険] -->|満期時生存| B[何も受け取れない]
    A -->|期間中死亡| C[死亡保険金]
    D[終身保険] -->|いつか必ず| E[死亡保険金]
    D -->|途中解約| F[解約返戻金]
    G[養老保険] -->|満期時生存| H[満期保険金]
    G -->|期間中死亡| I[死亡保険金]
    H -.同額.-> I

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  classDef primary fill:#eff6ff,stroke:#2563eb,stroke-width:2px,color:#1e40af;
  classDef alert fill:#fef2f2,stroke:#dc2626,stroke-width:2px,color:#991b1b;

個人年金保険 ── 老後の生活資金を準備する保険

Section titled “個人年金保険 ── 老後の生活資金を準備する保険”

個人年金保険は、契約時に定めた年齢になると、一定期間または一生涯にわたって 年金形式 でお金を受け取れる保険です。公的年金を補完する 私的年金 として、老後の生活資金準備に利用されます。受取期間によって次の3タイプに分かれます。

タイプ受け取れる期間特徴
終身年金被保険者が生存している限り一生涯長生きすればするほど受取総額が増える
有期年金被保険者が生存している間の一定期間期間内に死亡すると以降は支払われない(保証期間付きあり)
確定年金生死に関わらず一定期間期間内に死亡しても遺族が残期間分を受け取れる

終身年金の保険料は「女性のほうが高い」

Section titled “終身年金の保険料は「女性のほうが高い」”

終身年金には、試験で繰り返し問われる重要なポイントがあります。性別以外の条件が同一なら、保険料は女性のほうが男性より高くなる ことです。

これは女性のほうが平均寿命が長く、年金を支払う期間も統計上長くなるためです。死亡保険(定期・終身)では逆に男性の保険料のほうが高くなりますので、混同しないようにしましょう。

保険の種類保険料が高いのは理由
死亡保険(定期・終身)男性男性のほうが平均的に早く死亡するため、保険会社の支払リスクが高い
終身年金(個人年金)女性女性のほうが長生きするため、保険会社の支払期間が長い

試験で出るポイント

「保険会社がお金を払うリスクが高い性別ほど、保険料も高くなる」と原則で覚えれば暗記不要です。終身年金は女性、死亡保険は男性、と方向が逆になることが2024年1月 問7、2025年5月 問8など定番の出題ポイントです。

個人年金保険のうち、一定の要件(年金受取人=契約者または配偶者、保険料払込期間10年以上、年金受取期間10年以上または終身など)を満たし 個人年金保険料税制適格特約 を付けた契約は、所得税の 個人年金保険料控除 の対象となります。要件を満たさない場合は一般の生命保険料控除の対象です。

変額保険 ── 特別勘定で運用する保険

Section titled “変額保険 ── 特別勘定で運用する保険”

変額保険は、保険料を 特別勘定(株式や債券で運用するファンド)で運用し、その 運用実績に応じて受取額が変動する 保険です。運用がうまくいけば受取額が増え、うまくいかなければ減るという、投資的な性格を持つ保険商品です。運用リスクは契約者が負います。

定額保険(一般勘定で安全に運用される普通の保険)と対比して整理しましょう。

項目変額保険・変額個人年金定額保険・定額個人年金
運用特別勘定(株式・債券などのファンド)一般勘定(保険会社が安全運用)
年金額・解約返戻金運用実績で 変動契約時に 確定
リスク負担契約者保険会社
死亡保険金の最低保証あり(払込保険料相当額など)
解約返戻金の最低保証なし(元本割れの可能性)あり

変額保険には保障期間で見た2タイプがあります。

  • 有期型 ── 一定期間の保障。満期時に受け取る満期保険金は運用実績で変動。
  • 終身型 ── 一生涯の保障。死亡保険金には最低保証があるが、解約返戻金は変動。

試験で出るポイント

「変額個人年金保険では、年金額や死亡給付金は変動するが、解約返戻金は変動しない」という選択肢は 誤り です。解約返戻金も運用実績で変動 し、最低保証もありません(2023年9月 問8)。「変額」とつく以上、年金額・解約返戻金のいずれも変動すると押さえましょう。

収入保障保険 ── 死亡後に「年金形式」で受け取る保険

Section titled “収入保障保険 ── 死亡後に「年金形式」で受け取る保険”

収入保障保険は、被保険者が死亡または高度障害になった後、契約時に定めた 保険期間の満了まで毎月(または毎年)一定額 を年金形式で受け取れる保険です。残された家族の生活費を「給料代わり」に確保するために設計された商品です。

最大の特徴は、保険金の 総受取額が逓減(ていげん) することです。たとえば「契約から30年後の満了時まで毎月10万円」という契約なら、契約直後に死亡すれば30年分(3,600万円)受け取れますが、満了の1年前に死亡すれば1年分(120万円)しか受け取れません。これは 必要保障額が時間とともに減る という考え方(子供の独立が近づくと必要な生活費の総額は減る)に合致しているため、保険料を抑えて合理的な保障設計ができます。

一時金で受け取ると総額が少なくなる

Section titled “一時金で受け取ると総額が少なくなる”

収入保障保険は、年金形式のかわりに 一時金(一括) で受け取ることもできます。ただし、一時金で受け取る場合は、本来は将来にわたって分割で受け取るはずの金額を前倒しで受け取る ため、運用利率分(中間利息)が割り引かれます。その結果、一時金の受取額は年金形式の総額より少なくなる のが一般的です。

試験で出るポイント

収入保障保険は「年金形式での総受取額 > 一時金での受取額」という大小関係が問われます。これは「今のお金 > 将来のお金」というお金の時間価値の考え方によるもので、債券・年金など他分野の問題にも共通する重要原則です(2023年5月 問7)。

収入保障保険は「掛け捨ての死亡保障」という意味では定期保険と似ていますが、保険金額の出方が異なります。

xychart-beta
    title "保険金額の推移(定期 vs 収入保障)"
    x-axis "経過年数(契約からの年数)" [0, 5, 10, 15, 20, 25, 30]
    y-axis "受取総額(万円)" 0 --> 4000
    line "定期保険(保険金一定)" [3000, 3000, 3000, 3000, 3000, 3000, 3000]
    line "収入保障保険(年金総額が逓減)" [3600, 3000, 2400, 1800, 1200, 600, 0]

定期保険は保険期間中ずっと一定額の保険金が確保されますが、収入保障保険は 時間の経過とともに残り受取総額が減って いきます。同じ保険料で比べると、収入保障保険は契約初期に手厚く、満了が近づくほど薄くなる、家族のライフサイクルに合わせた保障になっています。

ここまで見てきた6つの商品を一覧で整理します。試験直前にはこの表を確認しましょう。

商品保障期間満期保険金解約返戻金運用方式主な用途保険料水準
定期保険一定期間なしほぼなし定額子育て期の大型保障安い
終身保険一生涯なしあり(積み上がる)定額葬儀費用・相続対策
養老保険一定期間あり(死亡保険金と同額)あり定額保障+満期での貯蓄高い
個人年金保険一定期間〜一生涯(年金支払)─(年金で受取)あり定額/変額老後資金
変額保険有期型または終身型変動(最低保証あり)変動(最低保証なし)特別勘定保障+運用中〜高
収入保障保険一定期間なしほぼなし定額遺族の生活費安い(同保障額の定期より割安)

なお、ここでは触れる程度に留めますが、健康状態に不安がある人向けの 引受基準緩和型保険(告知項目が少ない/告知不要)や、がん・急性心筋梗塞・脳卒中などの三大疾病で保険金が支払われる 特定疾病保障保険 といった商品もあります。FP3級では主要6商品の整理を最優先にしましょう。

試験で出るポイント

この分野は「商品名と特徴の組み合わせ」を取り違えさせる出題が中心です。とくに 定期 vs 養老(満期保険金の有無)変額個人年金(解約返戻金も変動)終身年金(女性のほうが保険料高い)収入保障(一時金は年金総額より少ない)更新型(同額更新は告知不要) の5論点は完璧に押さえましょう。


養老保険は、保険期間中に被保険者が死亡した場合に死亡保険金が支払われ、満期まで生存した場合には死亡保険金と同額の満期保険金が支払われる。次の記述の正誤を判定せよ。

解答

正解:○

養老保険は「死んでも生きても同額」が支払われる貯蓄型の保険であり、その分だけ保険料は定期・終身・養老の3商品のうち最も高くなる。なお、満期保険金がなく一定期間の死亡保障に特化したのが定期保険である。

35歳のAさんが、保険料の負担を抑えつつ一生涯の死亡保障を確保したいと考え、低解約返戻金型終身保険に加入した。この保険は、保険料払込期間中の解約返戻金が通常の終身保険より少ないかわりに保険料が割安に設定されており、払込期間が満了すると解約返戻金は通常の終身保険と同水準に回復する。次の記述の正誤を判定せよ。

解答

正解:○

低解約返戻金型終身保険は、保険料払込期間中の解約返戻金を通常の70%程度に抑えるかわりに保険料を割安にしたタイプである。払込期間中に短期解約すると不利だが、長期保有を前提とすれば同等の保障を安く確保できる。

個人年金保険のうち終身年金の保険料は、被保険者の性別以外の契約条件が同一であれば、男性のほうが女性より高くなる。次の記述の正誤を判定せよ。

解答

正解:×

終身年金は被保険者が生きている限り年金が支払われるため、平均寿命の長い女性のほうが支払期間が長くなる。したがって保険料は 女性のほうが男性より高く なる。死亡保険(定期・終身)では男性の保険料が高くなるため、方向が逆になる点に注意。

変額個人年金保険は、保険料を特別勘定で運用するため、将来受け取る年金額は運用実績で変動するが、契約途中で解約した場合の解約返戻金額は契約時に確定しており変動しない。次の記述の正誤を判定せよ。

解答

正解:×

変額個人年金保険では、年金額・死亡給付金・解約返戻金のいずれも特別勘定の運用実績に応じて変動 する。死亡給付金には払込保険料相当額などの最低保証があることが多い一方、解約返戻金には最低保証がなく元本割れの可能性もある。

契約から30年間、毎月10万円が遺族に支払われる収入保障保険に加入したBさんが、契約から3年後に死亡した場合、遺族が一時金(一括)で受け取る金額は、毎月10万円を27年間受け取り続けたときの総額より一般に多くなる。次の記述の正誤を判定せよ。

解答

正解:×

将来にわたって分割で受け取るはずの保険金を一時金で前倒し受け取りすると、運用利率分(中間利息)が割り引かれるため、一時金の受取額は年金形式の総受取額より 少なくなる のが一般的である。「今のお金>将来のお金」というお金の時間価値の考え方による。

定期保険特約付終身保険(更新型)の定期保険特約は、同額の保険金額で更新する場合、被保険者の健康状態についての告知や医師の診査は不要だが、更新時の年齢で保険料が再計算されるため、更新のたびに保険料は上昇する。次の記述の正誤を判定せよ。

解答

正解:○

同額更新であれば告知・診査は不要で、健康状態を理由に更新を断られることはない(契約者保護のしくみ)。一方、保険料は更新時の年齢で再計算されるため、更新ごとに高くなる。なお、保障を増額して更新する場合は増額部分について告知が必要となる。

収入保障保険は、被保険者が死亡してから保険期間満了まで毎月一定額が支払われる仕組みであるため、契約初期に死亡した場合と満了直前に死亡した場合で、遺族が受け取る年金の総額は同額になる。次の記述の正誤を判定せよ。

解答

正解:×

収入保障保険は 保険期間満了まで 毎月一定額が支払われるため、契約初期に死亡すれば残存期間が長く受取総額は大きくなり、満了直前に死亡すれば残存期間が短く受取総額は小さくなる(逓減型)。子供の独立とともに必要保障額が減るというライフサイクルに合わせた合理的な設計になっている。

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