マーケティング手法
マーケティングの基礎で学んだ考え方をもとに、実際にはさまざまな手法で顧客にアプローチします。ここでは、ITパスポート試験で出題される代表的なマーケティング手法を体系的に学びましょう。
セグメントマーケティング
Section titled “セグメントマーケティング”セグメントマーケティングとは、市場を年齢・性別・地域・ライフスタイルなどの基準で細分化(セグメンテーション)し、特定の顧客層(セグメント)に集中してマーケティング活動を行う手法です。
STP分析のセグメンテーションとターゲティングの考え方を活用し、すべての顧客を対象にするのではなく、特定のグループに絞ってアプローチすることで、効率的に成果を上げることができます。
セグメンテーションの基準
Section titled “セグメンテーションの基準”| 基準 | 具体例 |
|---|---|
| 人口統計的基準 | 年齢、性別、家族構成、所得、職業 |
| 地理的基準 | 国、地域、都市規模、気候 |
| 心理的基準 | ライフスタイル、価値観、性格 |
| 行動的基準 | 購買頻度、使用率、ブランドロイヤルティ |
試験で出るポイント
セグメントマーケティングは「年齢・性別・家族構成などで顧客を分類し、集中すべき顧客層を絞り込む」手法です。過去問では「顧客を分類して購買行動を分析し、集中すべき顧客層を絞り込む戦略は?」という形で出題されています。
ダイレクトマーケティング
Section titled “ダイレクトマーケティング”ダイレクトマーケティングとは、企業が顧客に対して直接的にコミュニケーションをとり、即座の反応(レスポンス)を求めるマーケティング手法です。
| 手段 | 内容 |
|---|---|
| ダイレクトメール(DM) | 郵便やメールで広告を直接送付する |
| テレマーケティング | 電話を通じて顧客に製品・サービスを案内する |
| カタログ販売 | カタログを送付し、注文を受け付ける |
| メールマガジン | 登録者に定期的にメールで情報を配信する |
ダイレクトマーケティングの特徴は、顧客の反応(購入、問い合わせなど)を直接測定できることです。これにより、施策の効果を数値で評価し、改善につなげることができます。
クロスメディアマーケティング
Section titled “クロスメディアマーケティング”クロスメディアマーケティングとは、テレビ、新聞、Web、SNSなど複数のメディアを組み合わせて、相互に連携させながら展開するマーケティング手法です。
たとえば、テレビCMで「詳しくはWebで」と告知してWebサイトに誘導し、Webサイトから会員登録を促すといった、メディア間の導線を設計することがポイントです。
各メディアの強み(テレビの広い到達力、Webの詳細な情報提供力、SNSの拡散力など)を活かして組み合わせることで、単一メディアよりも高い効果を得ることを目指します。
インバウンドマーケティング
Section titled “インバウンドマーケティング”インバウンドマーケティングとは、企業がSNS、ブログ、検索エンジンなどを通じて有益な情報を発信し、見込み客が自ら情報を探して企業にたどり着くように仕向ける手法です。
従来の「企業から顧客に一方的に情報を送る」手法とは異なり、顧客の主体的な情報収集を促す点が特徴です。
| 比較項目 | インバウンドマーケティング | 従来のマーケティング |
|---|---|---|
| 情報の流れ | 顧客が企業を見つける(引き寄せ型) | 企業が顧客にアプローチする(押し出し型) |
| 主な手段 | ブログ、SNS、SEO、ホワイトペーパー | テレビCM、チラシ、飛び込み営業 |
| 顧客の態度 | 能動的に情報を収集している | 受動的に情報を受け取る |
試験で出るポイント
インバウンドマーケティングは「見込み客が自ら情報を収集することを促す手法」です。「SNSやブログ、検索エンジンを利用して情報を発信し、見込み客を獲得する」という問題文のパターンを覚えましょう。
ロケーションベースマーケティング
Section titled “ロケーションベースマーケティング”ロケーションベースマーケティングとは、スマートフォンのGPS機能などを利用して、顧客の位置情報に基づいたマーケティングを行う手法です。
たとえば、店舗の近くにいるユーザーのスマートフォンにクーポンを配信したり、特定のエリアに入った顧客に限定情報を通知したりすることで、来店を促進します。
プッシュ戦略とプル戦略
Section titled “プッシュ戦略とプル戦略”製品を市場に届ける際のアプローチは、大きくプッシュ戦略とプル戦略に分けられます。
| 戦略 | 考え方 | 主な手段 |
|---|---|---|
| プッシュ戦略 | メーカーが流通業者(卸・小売)に働きかけて、製品を消費者に届ける | 販売員への教育、リベート(販売奨励金)、店頭での販売促進 |
| プル戦略 | メーカーが消費者に直接働きかけて、消費者の需要を喚起し、流通業者に製品を引き寄せさせる | テレビCM、Web広告、SNSでの情報発信 |
プッシュ戦略は製品を「押し出す」イメージ、プル戦略は消費者を「引き寄せる」イメージで覚えましょう。実際のマーケティングでは、両方の戦略を組み合わせて活用することが一般的です。
マーケティングオートメーション(MA)
Section titled “マーケティングオートメーション(MA)”マーケティングオートメーション(MA: Marketing Automation)とは、見込み顧客(リード)の獲得・育成・選別といったマーケティング活動を、ソフトウェアを用いて自動化・効率化する仕組みです。
MAの主な機能
Section titled “MAの主な機能”| 機能 | 内容 |
|---|---|
| リードジェネレーション | 見込み顧客の獲得(Webフォーム、セミナー集客など) |
| リードナーチャリング | 見込み顧客の育成(段階的なメール配信、コンテンツ提供など) |
| リードスコアリング | 見込み顧客の購買意欲を点数化し、営業に引き渡す優先度を判定する |
MAにより、マーケティング部門は質の高いリード(購買意欲の高い見込み客)を効率的に営業部門へ引き渡すことができます。
マーチャンダイジング
Section titled “マーチャンダイジング”マーチャンダイジング(merchandising)とは、消費者のニーズに合った商品を、適切な時期・場所・数量・価格で提供するための一連の活動のことです。小売業における商品の仕入れ、品揃え、陳列、価格設定などを含む商品化計画を指します。
試験で出るポイント
プッシュ戦略は「流通業者を通じて消費者に製品を押し出す」、プル戦略は「広告で消費者の需要を喚起して製品を引き寄せる」戦略です。マーケティングオートメーション(MA)は「見込み客の獲得・育成・選別を自動化する仕組み」と覚えましょう。
過去問で実力チェック
Section titled “過去問で実力チェック”過去問に挑戦
Q. 自社の商品やサービスの情報を主体的に収集する見込み客の獲得を目的に,企業がSNSやブログ,検索エンジンなどを利用して商品やサービスに関連する情報を発信する。このようにして獲得した見込み客を,最終的に顧客に転換させることを目標とするマーケティング手法として,最も適切なものはどれか。
- ア アウトバウンドマーケティング
- イ インバウンドマーケティング
- ウ ダイレクトマーケティング
- エ テレマーケティング
解答(令和元年)
正解: イ
Q. マーチャンダイジングの説明として,適切なものはどれか。
- ア 消費者のニーズや欲求,購買動機などの基準によって全体市場を幾つかの小さな市場に区分し,標的とする市場を絞り込むこと
- イ 製品の出庫から販売に至るまでの物の流れを統合的に捉え,物流チャネル全体を効果的に管理すること
- ウ 店舗などにおいて,商品やサービスを購入者のニーズに合致するような形態で提供するために行う一連の活動のこと
- エ 配送コストの削減と,消費者への接触頻度増加によるエリア密着性向上を狙って,同一エリア内に密度の高い店舗展開を行うこと
解答(令和3年)
正解: ウ
Q. 年齢,性別,家族構成などによって顧客を分類し,それぞれのグループの購買行動を分析することによって,集中すべき顧客層を絞り込むマーケティング戦略として,最も適切なものはどれか。
- ア サービスマーケティング
- イ セグメントマーケティング
- ウ ソーシャルマーケティング
- エ マスマーケティング
解答(令和4年)
正解: イ
Q. マーケティングオートメーション (MA) に関する記述として,最も適切なものはどれか。
- ア 企業内に蓄積された大量のデータを分析して,事業戦略などに有効活用する。
- イ 小売業やサービス業において,販売した商品単位の情報の収集蓄積及び分析を行う。
- ウ これまで人間が手作業で行っていた定型業務を,AI や機械学習などを取り入れたソフトウェアのロボットが代行することによって自動化や効率化を図る。
- エ 見込み顧客の抽出,獲得,育成などの営業活動を効率化する。
解答(令和6年)
正解: エ
Q. 企業の戦略立案やマーケティングなどで使用されるフェルミ推定に関する記述として,最も適切なものはどれか。
- ア 正確に算出することが極めて難しい数量に対して,把握している情報と論理的な思考プロセスによって概数を求める手法である。
- イ 特定の集団と活動を共にしたり,人々の動きを観察したりすることによって,慣習や嗜好,地域や組織を取り巻く文化を類推する手法である。
- ウ 入力データと出力データから,その因果関係を統計的に推定する手法である。
- エ 有識者のグループに繰り返し同一のアンケート調査とその結果のフィードバックを行うことによって,ある分野の将来予測に関する総意を得る手法である。
解答(令和6年)
正解: ア